ファラオ時代のエジプトとエチオピアの戦いを軸に、エチオピア女王(今はエジプトに囚われの身)のアイーダとエジプト軍総司令官であるラダメスとの、2つの国に引裂かれた男女の悲恋を描いたオペラです。
これが、オペラの台本ともいえる楽譜です。
青いほうが「総譜 フル・スコア」と呼ばれるもので、歌とオーケストラの音符がすべて書かれています。
すべての「音」が書かれているために非常に細かい字と音符になり、とても「見やすい」とはいえない楽譜です。
そこで、歌手やスタッフは「ピアノ譜 ボーカルスコア」といわれる歌とピアノ伴奏が書かれた楽譜を使います。それが写真の白いほうになります。
1幕2場はエジプト軍の勝利を祈願する巫女と司祭の場面ですが、稽古の最中に舞台監督がポツリと「この曲がヴェルディ作曲のオペラの中で、一番ダイナミックレンジ(小さな音から大きな音まで)が広いかもしれないね。もしかしたら全オペラの中で一番かも」と言いました。
「ほんまかいな?」と測定した結果がこれです。
1幕2場は、神のご神託を告げる巫女のカゲで演奏される歌から始まります。
そして舞台上の大合唱で終わります。
その最後の大合唱の測定結果がこれです。
もちろん稽古場での簡易測定ですし、オーケストラではなくピアノ伴奏のため正確なデーターとは言えませんが、相当に広いダイナミックレンジを持った曲であることは確かです。
専門的にいうと約60デシベルの差があり、人の耳には最初からすると最後は64倍に聞こえます。
エネルギー量でいうと、なんと1000倍になります。
ヴェルディが意識していたかどうかはわかりませんが、荘厳な神殿をイメージさせるダイナミックレンジをもった曲と言えますね。
アイーダといえば、なんといっても有名なのは「凱旋行進曲」です。
なんとヴェルディはこの曲のために「楽器」まで作ってしまいました。
それが「アイーダ・トランペット」です。

この写真は浜松の楽器博物館で撮ったものですが、とっても「なが〜いトランペット」です。
もちろん、今回のアイーダでも登場します。
壮麗なビジュアル面が注目されがちになる『アイーダ』ですが、ヴェルディのすばらしい音楽は必聴です。
どうぞお楽しみに。